★★★収録曲の順番と時間は上記のとおりで、やはりと言うべきか、'91年発売のCDとはかなり異なっています(CDの曲順ではLPにした場合のA・B面の時間配分が変になると誰しも思ったはず)。また、A面の一曲目とB面の最後に同じ曲(Baby,I'm Lonesome) を入れているのは、曲の収録位置や微妙なアレンジの相違を検討するためと思われます。そのため収録は全部で11トラックですが、実質的には8曲となり、この時点で "I Love To Sing My Ballad, Mama"はオミットされています(曲調から推察して元々次点かシングルB面用の候補だったのではないか … )。
★★★各曲の時間は、当方が試聴しながらストップウォッチで計ったものですので少々の誤差はあると思いますが、A4以外の曲ははほぼCDと同尺。そして、このA面4曲目の "Be True To You"こそが驚愕のトラックで、ピアノ伴奏のみで独唱された全くの未発表テイクです。イントロの調子をはじめ全体の雰囲気が "Blue River" とよく似ており、 ストリングスを加え大仰にアレンジされた後のテイクからは感じ取れないこの曲の本当の良さが判るとともに、アルバム・コンセプトの根幹となる最重要曲だったことが実によく理解できます。また、他の曲にもデジタル・リマスターされたCDの音像とは違った独特な深味が感じられ、例えばA5(Woman, She Was Gentle)のバックで聴こえるジョーン・バエズのハーモニーなどCDよりむしろ鮮やかに感じられます。
★★★そして、この収録曲順で通して聴いて何よりも感動するのは、アンダースンが意図していた『BLUE RIVER』 第二章としてのアルバムの本来のイメージが鮮明に浮かんでくることです。さらに確信できるのは、この 『STAGES』 が1973年にちゃんとリリースされていたら、冒頭の曲は "Moonchild River Song"(つまり後の『アリスタ』盤と同じ)になっていただろうということです。この曲のインパクトの強さはもちろん、LP両面の収録時間のバランスから見ても、この曲を頭に置けば各18分強程度となり理に適っています。このことから、曲順の違いを初め、余分なボーナス・トラックを詰め込んでイメージを拡散させてしまったCD版の編集は非常に安直だったと言わざるをえません。